私が今の仕事を志したのは、自身のデジタル変革における経験と失敗を世に伝えたいと思ったのがきっかけです。
私は住宅情報誌・新聞社系の総合広告代理店の営業マンとして約20年、そのキャリアのほとんどを広告業界の会社員として過ごしました。
住宅情報誌の営業を行なっていた2000年代は数多くのインターネットサービスが登場し、私が扱っていた住宅情報誌や求人情報誌などはあっという間に紙媒体からインターネットに置き変わっていきました。
また総合広告代理店勤務のころは2009年にネット広告が日本の新聞広告の販売額を抜くなど、インターネットを活用したマーケティング活動がますます盛んになってきた時代です。
そのような中、私はネット広告の存在を知り、これを販売しようと色々と調べましたが、当時そのノウハウを持っている同僚も知人も誰もおらず、書籍を買ったりネットサービスが提供する学習プログラムを活用したりしながら、ほぼ独学でそれを学んでいったのをよく覚えています。
当時マス広告の衰退とネット広告の急成長を目の当たりにする中で、大きな危機感を持ちながら自分なりにどう変わって行けばいいのか模索をしていたのですが、自身の経験も知識も低い中で、ただただ目の前の課題に対応していただけのように思います。
その後ネット広告はだんだんと世の認知度もあがって行き、私もお客様のニーズに合わせながら様々な種類のネット広告やウェブマーケティングの施策を行って行くことができるようになってきました。
その頃、周りの同僚にも ネット広告の販売やウェブマーケティングの扱いを奨めたり、当時の社長に依頼されて特別チームをつくって社内研修を行ったり、進むデジタル変革に対応すべく色々な社内改革にも着手するようになってきました。
しかし多くの同僚に私の話は理解してもらえませんでした。
今から考えると同僚にとって私はただのめんどくさい人間だったのかもしれません。(苦笑)
それから時代は進み、あらゆる企業においてインターネットの活用が重要だと考えられるようになりましたが、私は逆に単なるネット広告を販売するだけのやり方に限界を感じるようになりました。
それは、市場の垣根がなくなった中で、どれだけ広告の種類を変えて集客だけをしても、元となる商品が他社とそこまで大きく変わらないものであれば、結局は価格勝負になってしまうということを目の当たりにしたからです。
それで、もっと根本的な提供価値(商品やサービス)の変革まで携わるように仕事のやり方を変えていきました。
お客様と同じように自社も根本的な商売の有り方や考え方をから見直さないといけないということを社内にも訴え続けましたが、残念ながらそれも理解してもらえるのはほんの一握りの人だけでした。
振り返ってみると、私の社内変革のやり方は段取りも準備も不十分で、「なんでみんな分かってくれないんだ」という自分の気持ちだけで行動していて、それが伝わりきらなかった大きな原因であったと思います。
今になって冷静に考えることができるようになると自分自身にも落ち度が多かったですし、いまなら違ったアプローチができると思っています。
しかしその当時はもどかしい毎日の中で、私はもうこれ以上会社を変えることは無理なのだと独立を考えるようになりました。
それは、こういった変革は「それを求めている企業」に対して提供した方が双方にとって健全だと思ったからです。
もちろん考え方は人それぞれなので「変わる」という選択肢が全てにおいて最適とは思っていません。
しかし私と同じように変革の時代において「変わりたい」「変わらなければならない」と考える企業にとって、私のこれらの経験と失敗は必ず活きると考えています。
会社員時代は好き勝手させていただきましたし、色々と勉強をさせていただき本当に感謝していますが、今でも残念なのは仲間たちの気持ちを変えることができなかったということです。
これはもう叶えることはできませんが、これからは外部の変革アドバイザーとしてクライアント企業にその価値を提供していきたいと考えています。
これからの未来を見据えながらチャレンジする企業とともに歩んでいき、その変革のお役に立つことが私の新たなミッションです。