流通のDX(デジタル変革)対応

流通とは商品を製造するメーカー、その商品を消費者に販売する小売、その中間を取り持つ卸売といった販売の一連の流れのことを言います。

流通のデジタル変革で、おそらく一番わかりやすい話は小売のEC化すなわちネットショッピングだと思います。

今まで家具屋さんなどの地域の小売店は市内の数店舗がライバルでした。
しかしインターネットができたことにより日本中の同業者がライバルとなり、いまやAmazonや楽天のような世界的企業とも戦わないといけません。



今までの商圏という垣根がなくなったのです。

日本の小売のEC化率(日本の全売上のうちネットで買われた割合)は以下のようになっています。


出典:経済産業省 平成30年度
我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備
(電子商取引に関する市場調査)


日本でEC化が最も進んでいるのは事務用品や文房具で約40%です。
次に書籍や家電・PC関連用品などは約30%となっています。

つまりこれらの3人に1人もしくは三つに一つはネット通販で買われているということです。
街から書店がなくなったという話はよく耳にするのではないでしょうか。

このように既存市場を破壊するようなイノベーションが起きた現在、地域の小売店はどのように対応したらいいでしょうか。

まず一つは自身のネットショップへの参入です。
年々EC化は進んでおり、なにより全国の見込み客へ販売できると言う魅力は大きいと思います。

ただし最も注意しないといけないのはライバルも日本中に存在するということです。
そこではもし他社と似たような商品もしくは仕入れ商品を販売するとなると、中身はほぼ同じということになり価格だけで比較されてしまいます。

つまりそこでは価格以外の「選ばれる理由」が必要となります。

二つ目はインターネットを活用した集客などのマーケティング活動です。
これは既に多くの方が活用されていると思いますが、ホームページや SNS などを使い実際の店舗に誘引をするというやり方です。

ただしこれも結局はライバルが日本中にいる訳ですので、何らかの差別化をしないといけないのは言うまでもありません。

結果的には今までと同じ価値の提供方法では厳しく、他にない新商品を開発するか、オンリーワンのサービスを開発するかしか道はありません。

次にメーカーと中間流通である卸売業者のお話です。

D2Cという言葉が生まれたように、いまやメーカーが直販エンドユーザーに販売することは難しくなくなりました。
家電のような工業製品はもちろん野菜や海産物などといった第1次産業も簡単に直接販売が可能となっています。
そういう意味ではメーカーはとてもチャンスの広がる時代になったと言えます。
市場は一気に広がり新たなユーザーと出会う機会も増えますのから、よりニッチな商品を展開して、マイクロ市場を狙う差別化戦略が有効になります。



ただし、逆に今まで取引先であった卸売会社や小売店がライバルになってしまうことも懸念されます。
これは直販用の商品を開発するなど、新たな取り組みが必要となってきます。

逆にそうなってくると卸売業者の存在価値が問われます。
卸売業者は単に商品を厳選して橋渡しをするだけではなく、メーカーや小売店に対してどのような価値を提供すると選ばれるのか考えなければなりません。

また下請けを中心としていた製造業にとってこれは大きなチャンスと言えます。
下請依存から脱却し自社オリジナルの製品をエンドユーザーに直接販売したいと考えている会社も多いのではないでしょうか。

このようにピンチの裏には必ずチャンスがありますので、それを活かそうと前向きに考えられた方がいいと私は考えています。


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