【連載】広告代理店「消滅」か「進化」か。AI時代を生き抜くための軍師への脱皮 【第4回】深夜の静寂。AIと見つけた「2人目の顧客」


広告代理店「消滅」か「進化」か。AI時代を生き抜くための軍師への脱皮
【第4回】深夜の静寂。AIと見つけた「2人目の顧客」

深夜のデスク。彼は、相棒であるAIに向かって、先生から授かったAB3Cを使い、徹底的に壁打ちを繰り返していた。
「なぁAI、贈答用フルーツを買うお客さんの隠れたベネフィット(価値)って何だと思う? 『相手に喜ばれて、自分の株が上がること』だとは思うんだけど、これ以外にもあるかな?」
AIからは『相手に失礼がないよう、信頼できる店であることを求める』『高級感や産地を気にする』といった、もっともらしい一般的な回答が返ってくる。
「……何か違うなぁ。もっと泥臭い、現場の悩みがあるはずなんだよ」
彼は、社長から聞いたエピソードを思い出した。かつて、社長が食べ頃を過ぎた高級フルーツを送ってしまい、顧客から怒られた時のこと。そして、彼自身がネットで高級メロンを買った時、いつが一番美味しいのか分からないまま少し早めに包丁を入れてしまい、後悔した時のこと。
「そうだ……AI、これだよ!これこそが本当の『 ベネフィット(顧客の痛み)』だ! 顧客は贈り主だけじゃない。『受け取る側』もいたんだ!」
受け取る側のベネフィットは、『いつが最高の食べ頃のか』『どう切ればお店みたいに綺麗に食べられるのか』という不安を完全に解消することだ。
贈り主の「株を上げたい」という理想は、受け取る側の「失敗できない」という痛みを解消した時に、初めて確約される。真のベネフィットは、この2人の顧客の間に隠れていたのだ。

【解説:第4回】
AIの限界と「一次情報」の価値。AIはネット上の一般的な正解を出すのは得意ですが、現場の「生々しい痛みや悩み」は自ら引き出せません。人間の泥臭い経験やヒアリングから仮説を立て、そこから「本当のベネフィット(隠れた顧客価値)」を見つけ出すための壁打ち相手としてAIを使う。これが正しいプロンプトの出し方です。
(第5回につづく)


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