広告代理店「消滅」か「進化」か。AI時代を生き抜くための軍師への脱皮
【第7回】「サイト制作」が「100万円の戦略コンサル契約」に変わった日
「……というわけで社長。単なる買い物カゴ(ECサイト)を作るのは、やめにしましょう」
果物店の社長室。彼は、深夜にAIと壁打ちをして導き出した『贈答品フルサポート戦略(AB3C)』の全貌を、社長の目の前で語り終えた。
「私たちが作るべきは、社長の『目利きの執念』と『最高の食べ方のノウハウ』がぎっしり詰まった、フルーツのコンシェルジュ・メディアです。贈り主の『相手を絶対に喜ばせたい』という究極のベネフィットを確約する仕組みを作ります」
提案書を見つめる社長の表情に、当初の「自社のスタッフとAIでやるから」という冷ややかな目はなかった。そこには、30年間現場で戦ってきた商売人の真剣な眼差しが戻っていた。
「……大手のサイトには、鮮度は書いてあっても『食べ頃』までは寄り添っていないな。うちの本当の強みが、初めて言語化された気がするよ。頼む、君にお願いしたい」
彼は静かに、しかしはっきりと答えた。
「ありがとうございます。ただし、私がお引き受けするのは『戦略策定フェーズ』のみで、費用は100万円です。この戦略をもとにした実際のサイト制作や小冊子の具現化は、別契約でよろしいでしょうか?」
当初、数十万円で綺麗なサイトを作らせようとしていた話は、完全に消え去った。
彼は「作業」を売る業者から、経営の根幹に入り込むビジネスパートナーへと脱皮したのだ。
【解説:第7回】
戦略の価値を正しく提示し、切り分ける。「サイト制作」という作業の中に戦略を含めてしまうと、クライアントからは「少し高額な制作会社」としか見られません。「戦略を立てること(勝ち方の提示)」自体に100万円単位の価値があり、サイト制作などの具現化は別フェーズであると明確に線を引く。これが広告会社の営業マンからデジタル戦略パートナーへの進化です。
(最終回へつづく)
