広告代理店「消滅」か「進化」か。AI時代を生き抜くための軍師への脱皮
【第2回】作業はAIに代替される時代。必要なのは戦略
「……社長に言われたよ。『AIがあるから、君の作業はいらない』ってさ」
独立して自らの会社を立ち上げたかつての先輩を居酒屋に呼び出し、彼は自嘲気味に呟いた。しかし、返ってきたのは慰めの言葉ではなく、冷や水を浴びせるような一言だった。
「お前、まだ『アクセス数』なんていう架空の数字を客に売ってるのか?」
「え……?」
「いいか。AIが数秒で最適解を出し、綺麗なホームページさえ一瞬で作ってしまう時代に、人間が『作業』や『数字』を売ってどうする。俺たちが売るべきなのは、そんな簡単に代替される安いものじゃない。社長が本当に求めているのは、箱(サイト)やアクセスじゃなく、『どうすれば自社が選ばれるのか』という勝ち方の答えだ」
先輩はドンと一冊の本をテーブルに置いた。
「週末、この著者のセミナーに行け。お前の仕事がなぜ『価値ゼロ』と言われたのか、その答えが全てそこにある」
数日後、セミナーの壇上に立った「先生」は、彼の想像を超える言葉を放った。
「『AIに仕事を奪われる』と怯えるのは、今日で終わりにしてください。皆さんは、現場の泥臭い事実を知っている。その一次情報に勝る『最高の指示(プロンプト)』を、AIは自ら生み出せません」
魔法の杖(AI)を恐れるな。あなたたちは、その杖を振るうための圧倒的な特権をすでに持っているのだから——。
その言葉は、薄暗いトンネルでもがいていた彼にとって、強烈な一筋の光だった。
【解説:第2回】
なぜ「作業」は価値を失うのでしょうか。AIがデザインもコーディングも一瞬でこなす時代、「綺麗なサイト」自体の価値はゼロに近づきます。経営者が本当に求めているのは、アクセス数という数字の報告ではなく、「どうすれば自社が選ばれて、売上が上がるのか」という戦略(勝ち方)の提示なのです。
(第3回につづく)
