インターネットの登場により、ご商売のエリアに垣根がなくなりました。
例えば、いままでは岡山市中区周辺とか、大元周辺とか、ある程度の市場(ご商売のエリア)が決まっていました。
小売業はネット通販がありますから、全国に競合ができたことはすぐにご理解いただけると思います。仕入れ品であれば、全国のECサイト、楽天ショップやアマゾンが相手になります。
ですが、サービス業の方はあまりまだピンと来ていない方も多いようです。
例えば、トイレの修理を頼みたいと考えたとします。
今までであれば、タウンページなどで調べて近くの工務店や水道屋さんを探していたと思います。交差点に大きな看板があったり、主要道路沿いにお店があれば、店名を覚えているかもしれません。
この場合、競合は「同じエリアの同業者」がメインとなります。
インターネットの活用が進んでくると、どうでしょうか?
いろんなシーンが考えられますが、一番多いのは「トイレ修理 岡山市」などで検索することではないでしょうか?
実際にGoogleで検索すると下記のようになります。
Google および Google ロゴは Google Inc. の登録商標であり、同社の許可を得て使用しています。
広告が7つ、自然検索での表示が10件出てきました。
よく見ると、「全国対応している業者さん」が目立つことに気づきます。
一般的に、全国対応している業者さんは窓口が東京などにあり、問い合わせまでをメインに行います。そしてその後の見積もりや、施工は、地元の施工業者さんに依頼します。
(FC店舗とは違って提携店はその屋号で商売していないことが多いようです)
このような会社は全国対応で、しかもノウハウもあり、きれいなホームページで、申し込みも24時間対応というところも少なくありません。
これは、地元密着で行ってきた会社にとっての競合となります。
つまり、実際の住所地とは関係なく、競合がひしめいている状態です。
他にも、お葬式、お庭の手入れ、シロアリ駆除、パソコンの修理、英会話教室などはもちろん、税理士業務、弁護士業務などの士業も含め、様々なサービス業で起こっていることです。
もっと限られた市場でのご商売である、スーパーや、学習塾、歯科クリニック、パン屋さんなども例外ではなく、「近所だから」という理由だけではもう成り立たないのです。
いままでは決まったエリアでの競争であったものが、一気に全国の会社が競合になりました。
特にインターネット上で解決できるサービスであれば、その垣根はもはや0になります。
実際に一部の経理代行サービス、教育関係などは、現地で行う必要がなければ無店舗でサービスを提供できるので、エリアの垣根が0で、全エリア競合になることもあります。
そういった中では、やはり「選ばれる理由」が、ホームページ・リアル店舗にかかわらず無いと、これからますます厳しい戦いとなって行くと思われます。
お客様を絞って考えることについて、もう一つ大きな理由があります。
それは「お客様もお店(会社)を絞っているから」です。
これはどういう意味でしょうか?
たいていの人は何か調べ物があるとき、インターネットで検索をします。
総務省の調べでは、趣味などのプライベートでも、仕事関係でも、調べものをするのに70~80%の人はインターネットを使っています。参考:総務省データ
例えば医療保険を検討している人は、GoogleやYahooなどで、「医療保険」と検索します。
ただ、医療保険の情報は広すぎて、ものすごく多くの情報であふれています。
そこで、ユーザーは「絞り込み」をします。
「医療保険 岡山市」「医療保険 高齢者向け」「医療保険 持病あり」「子供の医療保険」「医療保険 最安」などです。
もうお分かりと思いますが、複数の単語を組み合わせて検索する人は、自分にマッチした医療保険を探していて、この場合では「岡山市で相談できる店舗を探している」「高齢者が保険に入れるか調べている」「持病があることの不安がある」「子供向けに親が検討している」「一番安い医療保険を探している」と想像できます。
もっと慣れた人は、単語を3つ4つと組み合わせて絞り込んでいます。
あくまで例ですが、一般的な総合保険サイトでなく、「高齢者専門の医療保険サイト(店舗)」があれば、おそらくその中にある情報は、不特定多数対象のものより高齢者に特化した内容が充実していて、運営者自身も「高齢者向けの医療保険のプロ」であると思われるでしょう。
これが地域を絞ってリアル店舗もあれば、余計にその中で唯一無二の存在になるかもしれません。これがお客様を絞ってその中でナンバーワンになることにつながります。
選ばれる理由の1つになります。
つまり、お客様を絞るということは、「お客様のお困りごとは自分なら解決できる」というメッセージでもあるということです。
ネット検索とは、ユーザーがキーワードという単語で行う「絞り込み」です。
この絞り込まれたニーズに対応し、競合と比較した中で優位性を持つには、「なんでも屋」ではなく「専門家」である必要があります。
インターネットの登場により、消費者が情報を得ました。
今までは売り手であるお店や会社から提供されるパンフレット、広告、セールストークなどから情報を得る「売り手→買い手」の方向がメインでしたが、消費者自ら情報を得る「売り手←買い手」という逆の流れが加わったのです。これはB2Bのお仕事も同じです。
またその情報も、売り手ではなく、自分と同じ消費者から得る機会も多くなりました。
つまり「買い手←→買い手」という情報の得方も考えられます。
例えば掃除機を買う場合、価格ドットコムなどの口コミやレビューを見て、消費者の生の声を聞き、購入の判断材料にしている人も多いと思います。
不動産購入も、結婚式場も、子育てグッズも、おいしいランチの情報まで。
確かにインターネットの中には、信ぴょう性に欠ける情報もたくさんあります。
ただ、いままで得ることの難しかった情報が世の中に流れたので、消費者が情報を得たのは事実です。
そういった中でお客様に選んでいただくためには、本当にお客様のためになる情報を発信することだと思います。
決して、検索順位で1位に来ればいいという話ではありません。
たとえ1位に来たとしても、選ばれる理由がなければ、電話が鳴ることも、来店が増えることも無いでしょう。
お客様が求める価値のことをベネフィットと言います。
「ニーズのことでしょ?」と思われるかもしれませんが、お客様が目の前で言っている需要と、本当に求めている価値は違います。
お客様は「本当に得たい価値」を持っていて、「行動」しようとしているのですが、ほとんどの場合、その「行動」の部分しか見えていないことが多いのです。
例えば、仕事帰りにプールに行こうと思っている人がいたとします。
「プールに行く」が「行動」です。「本当に得たい価値」ではありません。
さて問題です!この人はプールに行きたいわけではありません。何をしたいのでしょうか?
答えはいろいろあります。
私の場合は「肩こりを治したい」でした。
おそらく、「ダイエットしたい」「仕事帰りにリフレッシュしたい」「体力をつけたい」「リハビリをしたい」などいろいろな目的が考えられます。
これらはその人が求める価値であり、本当の目的です。
肩こりを治すなら、「治療院」が競合になりますし、仕事帰りにリフレッシュしたいならテニス教室のほうがいいかもしれません。
その人が本当に求めている価値は何なのかを見極め、それを解決できる場を提供するのが重要です。
Webサイトを作るなら、単にプールの概要や値段だけを載せるのではなく、その人が求めている価値に対して、競合と比べてこんな利点があるといいったコンテンツがあると、選ばれる理由になるかもしれません。
私の例で言うと、いかにプールが肩こりにいいかという内容や、肩こりを治すための効果的な運動方法、実際に肩こりが治った人のインタビュー記事などになります。
リフレッシュやダイエットであれば、どのようなコンテンツがあるといいでしょうか?
ベネフィットを理解すると、単にプールの概要を掲載するだけでなく、何を伝えるといいのかが見えてきます。
前回はお客様を絞るお話をしました。
では自社にとってのお客様とはどんなお客様なのでしょうか?
あなたの考える理想のお客様は、現在の顧客の中にいらっしゃいますか?
もしいれば、その方(会社)が近いのかもしれません。
自分が提供している価値が、そのお客様が本当に求めていることで、
それを解決できているとしたら、同じ価値を求めている人が他にもいるかもしれません。
この「お客様が求めている価値」のことをベネフィットと言います。
一番早いのは、お客様に聞きに行くことです。
「他社もあるのに、なんで私から買ってくださっているのですか?」と聞いてみるのです。
単に安いからという理由ではなく、「実はこういうところが気に入ってるんです。助かっているんです。」という答えが返ってくれば、価値を提供できているということになります。
まずは、現在提供できている価値が何なのかを知り、それを求めている他の人にもっと知っていただくことが、Webサイト制作のヒントになります。
ただ、それだけで十分な改革につながらないこともあります。
それは「選ばれなかった理由」もあるからです。お客様が他社を選んだという意味です。
これを知るのは難しいことですが、お客様の求めている価値は複数ありますので、それを解決することが出来れば、新しい価値を提供することができ、今まで選んでいただけなかったお客様に選んでいただけるようになるかもしれません。
このベネフィットで分けて考えるのは、インターネット活用にとても向いています。