ベネフィット(お客様の求める価値)がある程度見えてきて、ターゲット像も定まってきたときに、あなたの提供すべきものはなんでしょうか?
ベネフィットを分けて考えると、提供すべき内容自体が変わってくることに気づきます。
例えば新しくゴルフのドライバーを買おうと思ている人がいたとします。
この人のベネフィットは、いろいろ考えられます。
①自分で使ってゴルフが上手くなりたい
②父の日にプレゼントして喜んでもらいたい
③ゴルフコンペの景品を選んでいる
・・・などです。
このベネフィットの違いによって、提供すべき価値は間違いなく変わってきます。
①の場合は、ゴルフの上達のためのコンテンツです。
いろいろな手段がある中で、ユーザーの困っていることを見極め、ドライバーを買うことを提案するようなコンテンツです。
その際には、もちろんアイアンの選び方も、パターの選び方もコンテンツとしてあると思います。
この人が本来求めているのは「ナイスショット」です。
②の場合はゴルフ好きのお父さんに対して、奥さんやお子さんがプレゼントを選んでいるシーンです。
もしかしたらゴルフウエアでもいかもしれませんが、普段からこのドライバーを欲しがっているのを知っているのでしょう。
このゴルフには詳しくない方が、正確に購入するには、どのような手助けができますか?
この人が求めているのは「お父さんの笑顔」でしょう。
③は景品を幹事さんが選んでいます。
ゴルフに関するものはもちろん、ときにはお米やお肉なども景品として喜ばれるときもあります。
この幹事さんならではのお困りごとは何でしょうか?
何をしてさしあげると喜ぶでしょうか?
この人が求めているのは「参加者の笑顔」はもちろん、選んだり、郵送したり、順位ごとに梱包を分ける「手間の解消」かもしれません。
このようにベネフィットを分けて考えると、提供すべき内容自体が変わってくることに気づきます。
今度はBtoB市場のEC化率です。
(※ECとは電子商取引のことです。)
BtoBですので、企業と企業の取引ですね。
出典:経済産業省ホームページ
広義・狭義とEC化率が分かれています。
詳細は省きますが、注目すべきは、「20%以上のEC化」であるということです。
え?BtoCより多いの?と驚かれた方も多いのではないでしょうか?
実はこれには、秘密があります。
多くの企業間取引には、EDI(Electronic Data Interchange/電子企業間取引)やEOS(Electronic Ordering System/電子受発注システム)といった形でシステム化が進んでいます。
イメージでいうと、スーパーが卸売会社やメーカーから仕入れを行うのに、毎回FAXでやり取りしていると、莫大な商品数なので追いつきません。これをシステム化しているであろうことは、小売りの素人の私でも想像つきます。
こういったシステム化された取引も、電子取引ですので、ECと定義づけされています。
なーんだ。と思ったでしょうが、BtoB市場とはいえ、取引しているのは人間と人間です。
皆さんもお仕事で何かを探すときには、Googleなどで検索するでしょうし、取引先の商品の確認なども、ホームページを見たりしているはずです。
これらがEC化される可能性は高く、これからまだまだ伸びる市場であると思います。
市場におけるネット化の割合のことをEC化率といいます。
(※ECとは電子商取引のことです。)
正確には、全ての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合となります。
このEC化率ですが、ご自身の業界がどのくらいか分かりますか?
経済産業省がデータを公開していますので、気になる方はぜひご覧ください。
下記は「物販系」です。
出典:経済産業省ホームページ
平均で5.43%ですが、「書籍。映像、音楽ソフト」や「事務用品、文房具」はやはり進んでいますね。
続いて「サービス業」です。
出典:経済産業省ホームページ
これはなぜかEC化率の表記がなかったのですが、EC市場の規模と前年との比較を記しています。
やはり飲食や理美容は急激に進んでいますね。
これはリクルートさんや食べログの取リ組みの成果も大きいと思います。
このEC化率ですが、注目すべきはこの6年間で二倍以上になっているということです。
出典:経済産業省ホームページ
現在はオムニチャネル化が進んでいて、ネットで注文したものがセブンイレブンの店舗で受け取れたり、店頭にない商品をその場でネット注文できるユニクロのような仕組みも、進んできています。
インターネットの登場により、ご商売のエリアに垣根がなくなりました。
例えば、いままでは岡山市中区周辺とか、大元周辺とか、ある程度の市場(ご商売のエリア)が決まっていました。
小売業はネット通販がありますから、全国に競合ができたことはすぐにご理解いただけると思います。仕入れ品であれば、全国のECサイト、楽天ショップやアマゾンが相手になります。
ですが、サービス業の方はあまりまだピンと来ていない方も多いようです。
例えば、トイレの修理を頼みたいと考えたとします。
今までであれば、タウンページなどで調べて近くの工務店や水道屋さんを探していたと思います。交差点に大きな看板があったり、主要道路沿いにお店があれば、店名を覚えているかもしれません。
この場合、競合は「同じエリアの同業者」がメインとなります。
インターネットの活用が進んでくると、どうでしょうか?
いろんなシーンが考えられますが、一番多いのは「トイレ修理 岡山市」などで検索することではないでしょうか?
実際にGoogleで検索すると下記のようになります。
Google および Google ロゴは Google Inc. の登録商標であり、同社の許可を得て使用しています。
広告が7つ、自然検索での表示が10件出てきました。
よく見ると、「全国対応している業者さん」が目立つことに気づきます。
一般的に、全国対応している業者さんは窓口が東京などにあり、問い合わせまでをメインに行います。そしてその後の見積もりや、施工は、地元の施工業者さんに依頼します。
(FC店舗とは違って提携店はその屋号で商売していないことが多いようです)
このような会社は全国対応で、しかもノウハウもあり、きれいなホームページで、申し込みも24時間対応というところも少なくありません。
これは、地元密着で行ってきた会社にとっての競合となります。
つまり、実際の住所地とは関係なく、競合がひしめいている状態です。
他にも、お葬式、お庭の手入れ、シロアリ駆除、パソコンの修理、英会話教室などはもちろん、税理士業務、弁護士業務などの士業も含め、様々なサービス業で起こっていることです。
もっと限られた市場でのご商売である、スーパーや、学習塾、歯科クリニック、パン屋さんなども例外ではなく、「近所だから」という理由だけではもう成り立たないのです。
いままでは決まったエリアでの競争であったものが、一気に全国の会社が競合になりました。
特にインターネット上で解決できるサービスであれば、その垣根はもはや0になります。
実際に一部の経理代行サービス、教育関係などは、現地で行う必要がなければ無店舗でサービスを提供できるので、エリアの垣根が0で、全エリア競合になることもあります。
そういった中では、やはり「選ばれる理由」が、ホームページ・リアル店舗にかかわらず無いと、これからますます厳しい戦いとなって行くと思われます。
お客様を絞って考えることについて、もう一つ大きな理由があります。
それは「お客様もお店(会社)を絞っているから」です。
これはどういう意味でしょうか?
たいていの人は何か調べ物があるとき、インターネットで検索をします。
総務省の調べでは、趣味などのプライベートでも、仕事関係でも、調べものをするのに70~80%の人はインターネットを使っています。参考:総務省データ
例えば医療保険を検討している人は、GoogleやYahooなどで、「医療保険」と検索します。
ただ、医療保険の情報は広すぎて、ものすごく多くの情報であふれています。
そこで、ユーザーは「絞り込み」をします。
「医療保険 岡山市」「医療保険 高齢者向け」「医療保険 持病あり」「子供の医療保険」「医療保険 最安」などです。
もうお分かりと思いますが、複数の単語を組み合わせて検索する人は、自分にマッチした医療保険を探していて、この場合では「岡山市で相談できる店舗を探している」「高齢者が保険に入れるか調べている」「持病があることの不安がある」「子供向けに親が検討している」「一番安い医療保険を探している」と想像できます。
もっと慣れた人は、単語を3つ4つと組み合わせて絞り込んでいます。
あくまで例ですが、一般的な総合保険サイトでなく、「高齢者専門の医療保険サイト(店舗)」があれば、おそらくその中にある情報は、不特定多数対象のものより高齢者に特化した内容が充実していて、運営者自身も「高齢者向けの医療保険のプロ」であると思われるでしょう。

これが地域を絞ってリアル店舗もあれば、余計にその中で唯一無二の存在になるかもしれません。これがお客様を絞ってその中でナンバーワンになることにつながります。
選ばれる理由の1つになります。
つまり、お客様を絞るということは、「お客様のお困りごとは自分なら解決できる」というメッセージでもあるということです。
ネット検索とは、ユーザーがキーワードという単語で行う「絞り込み」です。
この絞り込まれたニーズに対応し、競合と比較した中で優位性を持つには、「なんでも屋」ではなく「専門家」である必要があります。





